環頭刀子 かんとうとうす

環頭刀子
かんとうとうす

環状の把頭をもつ利器のなかで、主に全長が10㎝台から20㎝台の小刀。鉄製と青銅製の2種があり、環状の簡素な装飾を施したものは素環頭刀子と呼ばれる。中国では殷代には存在し、戦国～漢代にかけて木簡や竹簡の書写工具として使われた。国内では弥生時代中期後半から古墳時代前期にかけて副葬された鉄製素環頭刀子が大半を占め、北部九州を中心に分布している。その多くは楽浪郡などを経て大陸からもたらされたと考えられるが、用途は不明である。素環頭刀子には、把頭を刀身から作り出した共作りと、柄の端部をまげて素環頭部を固定した別作りのものがあり、さらに環頭部が柄の中央に位置するものと、柄の背部側から直線的に延びて環をなすもの、直線や内反りをなす刀身の特徴によって分類される。山形県の三崎山では青銅製の刀子（環頭部を欠く）が、佐賀県の吉野ヶ里遺跡では青銅製の環頭を鉄製刀子の環頭を鉄製刀子の茎部に巻きつけた青銅環頭鉄刀子が出土している。

（常松幹雄）

以上、転載