舟葬 しゅうそう

舟葬
しゅうそう

原義は、舟に死者を納め海に流す水葬の一種。海のかなたに死者の霊魂を舟で送るという海上他界感に基づく風習。北欧バルト海・イギリス沿岸、地中海沿岸、環太平洋沿岸、アメリカ北西部の海洋諸民族の葬法として広く知られている。考古学的には舟を棺に用いた舟棺葬をいう。日本列島の舟葬の存否については、民族・民俗学や古典文学の見解は肯定的である。考古学界でも戦前、後藤守一によって古墳時代の船形の棺・槨の存在から舟葬論が提唱されたが、小林行雄や伊東信雄の批判により戦後は否定的に扱われてきた。しかし、千葉県館山市大寺山洞穴の発掘調査で、古墳時代(5~7世紀)の丸木舟を用いた10数基の舟棺墓が検出され、はじめて舟葬の存在が考古学的に証明された。古墳から出土する船形埴輪や円筒埴輪の線刻船、装飾古墳の天鳥船も舟葬に関連するものであろう。

(岡本東三)

以上、転載