丸木舟 まるきぶね

丸木舟
まるきぶね

木を刳りぬいて船体とする舟で、「刳舟(くりぶね)」ともいう。大木を刳りぬいただけの単材刳舟は、世界の森林地帯に広く分布し、日本では縄文時代にさかのぼる。現代でも男鹿半島や種子島で使われてきた。古墳時代ごろになると、複材化した丸木舟が見られるようになり、大阪鼬川などではクスノキの刳りぬき材を前後に継いで基本船体とし、上に舷側板を継ぎたしたものが出土する。同様の船は、韓国珍島や中国山東半島などからも出土している。この複材化した丸木舟を考古学や和船史では、準構造船と呼ぶことが多い。丸木舟は、さきの単材刳舟や前後継ぎのほか、左右の刳りぬき部材を船底で合わせたり、その間に船底板を入れたり、舷側の上部に板を継ぎたしたりと多様な複材化が見られる。しかも、日本列島では古代に限らず、近現代にいたって多くの民俗事例があり、多様な複材丸木舟の存在が地域的な分布の偏差をもってとらえられるところに特色がある。またこれらの諸技術には、周辺アジア世界とつながる特徴が見られる。

(出口晶子)

以上、転載

 

*辞典の解説文から漢字ピックアップ
(いたち)川