火山灰考古学 かざんばいこうこがく
火山灰考古学
かざんばいこうこがく
テフラ(Tephra:広義の火山灰、降下火砕物や火砕流堆積物を含む)を利用して、遺物や遺構の年代を推定したり、遺跡におけるテフラによる被災状況を復元しようとする分野。鹿児島県指宿市橋牟礼川遺跡で、大正年間に行われた濱田耕作らによる発掘で、開聞岳噴出物を用いて遺物の上下関係を把握したことが初期の成果である。1960年代に入り盛んに研究されるようになり、主に関東ローム層と遺物の関係が調査された。1970年代中葉にはAT(姶良ー丹沢火山灰)、K-Ah(鬼界アカホヤ火山灰)の両広域テフラが発見され、研究が進展した。日本近隣の広域テフラには、中国・北朝鮮国境にある白頭山からのテフラ(B-Tm:10世紀)、韓国・鬱陵島からのテフラ(9000年前)があり、中〜北部日本の遺跡で利用されている。テフロクロノジー(Tephrochronology:火山灰編年学)の発展や、個々の火山灰におけるテフラ研究の深化に伴い、中〜小規模テフラを用いた研究も進んでいる。
(成尾英仁)
以上、転載
