割竹形木棺 わりたけがたもっかん

割竹形木棺
わりたけがたもっかん

古墳時代に使用された木棺の一種。長さ4~8m、太さ1m弱の丸太を縦割りし、それぞれの内部を刳り抜いて身と蓋としている。良好な遺存例がほとんどなく、棺身の圧痕が竪穴式石室や粘土槨などの棺床にU字形に残っている場合、割竹形木棺と見なすことが多い。細部の構造などは不明であるが、縄掛突起と呼ばれる短い円柱や半環状の突出部を伴ったり、身の端部を刳り残したり、仕切板を用いるものなどがある。そのほとんどはコウヤマキを使用し、『日本書紀』の「神代上」で素戔嗚尊が柀(まき)を棺材として薦めていることに対応している。弥生時代にも使用されたが、長大化するのは古墳時代になってからであり、出現期の古墳を含む前期の古墳に主に採用された。後期の遺例もあるが、小型でその数も少ない。

(福尾正彦)

以上、転載