晩達人 ばんたつじん
晩達人
ばんたつじん
Mandai-in
北朝鮮・ピョンヤン特別市勝湖区域晩達里に所在する、旧石器時代後期と推定される石灰岩洞窟の中間層から発見された化石人骨。ほぼ完全な頭骨1点、下顎骨2点(2個体)、骨盤(寛骨)部位2点、足の骨の一部などがある。このうち頭骨を持つ人類化石が晩達人と名づけられた。頭骨は典型的な長頭形で、短頭化があまり進んでいない。前頭骨の矢状稜や眼窩上隆起がある程度発達し、現代人とは異なり、眼窩内側の上部の隅と眼窩上縁部位が融合して厚くなっている。また、側頭骨の高径が小さく、顎関節窩が相対的に広く低いこと、ラムダ縫合線が単純であることなど原始的な特徴が見られるが、頭骨全体は額が高く、丸みがあって(プレグマ角57°、耳プレグマ高123㎜)、下顎骨の顎突出角は小さく、下顎枝も細長であるなど発達した要素を持つ。晩達人はこれらの諸特徴から、25~30歳くらいの成人男子で、現生人類(Homo sapiens sapiens)に分類されるが、古代型と現代型の要素が、混在している。晩達里遺跡では、細石刃核・剝片などの石器、骨角器・動物化石などを伴うことが重要である。
(中山清隆)
以上、転載
