鎮墓獣 ちんぼじゅう

鎮墓獣
ちんぼじゅう

墓室内に侵入してくる悪霊から、被葬者の遺骸を護り昇天を助けるため置かれた怪異な像のこと。鎮墓獣は、中国・戦国時代楚の河南省信陽市長台関2号墓から見られるが、楚墓出土のものはいずれも木彫の体部で、頭上には鹿角を差し込み張目吐舌する。大きな目と舌出しは悪霊を祓う辟邪である。後漢時代では、山東省諸城県前涼台画像石墓のように、頭上の角を向けて突きかかる犀形のものや、広州沙河頂後漢墓のように人面で舌出しのものもある。三国時代では、安徽省馬鞍山市佳山呉墓から額に穴のあいた人面獣身のものが出土している。晋代には頭上に大きな角を持った犀形が多く、北魏では、陝西省西安市任家口229号墓のように人面および獣面獣身で蹲踞したものが1対となって墓門の両側に置かれるようになる。北魏で成立したこの形式は、以後北朝から隋唐まで踏襲されるが、北斉から背中に戟を持つものが現れ、唐代には、従来魌頭と呼ばれた獣面と人面のものが一般的となる。韓国では、忠清南道公州市の武寧王陵から、鉄製の角を持つ石製鎮墓獣が出土している。

(原田三壽)

以上、転載

 

 

*辞典の解説文より漢字ピックアップ


ケキ、ゲキ、ほこ


キ、みにく(い)