港川人 みなとがわじん

港川人
みなとがわじん

沖縄本島の南端、港川にある石灰岩採石場のフィッシャーから、1967~69年に大山盛保によって発見された5~9体分の化石人骨。特に1号人骨(男性)は保存良好でほぼ全身骨格が出土している。その他、女性3体が確認されている。伴出した木炭に対するC14年代測定の結果、およそ18000年前のものとされ、日本の代表的な後期旧石器時代人骨となっている。なお、石器は出土していない。頭蓋の骨が厚くて脳容量は1390cc(1号)とかなり小さい。また、咀嚼筋である側頭筋の発達が良好であるため、眼窩後狭窄の強さが目立つ。顔面は低顔性が顕著で、眼窩も低くて四角い。眉間部の発達、鼻根部の陥凹が明確で、鼻骨も強く湾曲するので、立体的な顔貌を示す。男性の推定身長は153㎝しかなく、非常に低い。最初に当人骨を研究した鈴木尚は、中国南部の柳江人や縄文人との類似性を指摘したが、その後、馬場悠男によって、ジャワのワジャク人との近縁性が指摘されている。

(中橋孝博)

以上、転載