咸安〔古墳〕 かんあん

咸安〔古墳〕
かんあん
Haman

韓国・慶尚南道咸安郡伽面に位置し、咸安盆地の沖積平野を望む西方の丘陵地帯に5~6世紀のころ築造された、三国時代加耶諸国の一つ阿羅国の古墳群。戦前、朝鮮総督府が1917年(大正6)に分布調査と一部の発掘調査を行った。戦後は昌原大学校博物館が1986年に、また国立昌原文化財研究所が90年代前半に、それぞれ発掘調査した。古墳は、いくつかの丘陵の稜線上に大小70基以上が散在する。古墳群はさらに、北から蓬山(5基)、伽倻里(6基)、末山里(45基)、道項里(6基)、新音里(11基)の五つの支群に分かれる。そのうち、末山里と道項里を合わせて末伊山古墳群とも呼ばれる。この古墳群は、南北に伸びる細長い丘陵頂部に大型墳が、またそこから西方にいくつも派生して広がる支脈上に古墳が列をなして分布する。古墳はいずれも円墳で、内部主体はほとんどが竪穴式石室である。そのうち、国立昌原文化財研究所が1992年に発掘調査した馬甲塚は、4世紀末ないし5世紀初めごろの大型木槨墳で、馬甲がほぼ完全な状態で出土した。

(西谷正)

以上、転載

 

 

*マップは慶尚南道咸安郡の範囲