パスパ文字 ぱすぱもじ

パスパ文字
ぱすぱもじ

元の世祖フビライがチベットの高僧パスパ(八思巴)に命じて作らせ、1269年(至元6)に公布した文字。チベット文字に改良を加えた表音文字であるが、正式には「蒙古字」「元国字」などと呼ばれる。フビライは公文書はすべてパスパ文字で記し、それぞれの国の言語の文字を添えるように命じた。現存する資料には、碑刻・官印・碑符・鈔・銭・権や若干の印刷物などがあり、記されている言語には、漢語・モンゴル語・チベット語・ウイグル語・サンスクリット語などがある。日本では、長崎県松浦市(旧北松浦郡鷹島町)で、弘安の役のときのものと考えられる「管軍総把印」を示す銅印が出土している。これには「至元十四年九月造」の漢字の刻字も認められる。また、福岡市の博多遺跡群では、パスパ文字が刻まれた指輪や貨幣(大元通宝)が、そして長崎県対馬市(旧下県郡美津島町)の水崎(仮宿)遺跡で貨幣(大元通宝)がそれぞれ発見されている。韓国では、全羅南道新安郡道徳島沖で発見された新安海底遺物の中に、パスパ文字が刻まれた貨幣(大元通宝)が含まれていた。

(西谷正)

以上、転載

 

*辞典解説文から漢字ピックアップ


ショウ、ソウ、
うつ(し)、うつ(す)、かす(める)、さつ