高麗青磁瓦 こうらいせいじがわら
高麗青磁瓦
こうらいせいじがわら
青磁製の瓦であるが、朝鮮半島の高麗時代に特徴的に見られる。『高麗史』毅宗11年(1157)の条に、別宮に建てられた養怡亭を青磁瓦で葺いたという記事がある。1928年に、この記事と符合すると考えられる青磁平瓦の破片数個が、高麗の首都・開城の満月台付近と、高麗青磁の著名な窯業地である全羅南道康津郡大口面沙堂里で発見された。その後、1964〜69年に当時の韓国・国立博物館によって沙堂里窯跡が発掘され、平瓦・丸瓦・鬼瓦・鴟尾の良好な資料が得られた。軒平瓦の瓦当面は陽刻の唐草文で飾られ、軒丸瓦は陽刻の蓮華文・宝相華文・牡丹文と陰刻の宝相華文など、豊富な文様を持つ。全体に釉色・文様ともきわめて優美である。これら多種多様な青磁瓦が得られたことから、養怡亭以外にも用いられたと推定される。
(西谷正)
以上、転載
