版築 はんちく

版築
はんちく

並行する板で枠をつくり、その中に土をつめ、杵で何層にもつき固めて、牆垣や城壁などを築き上げる土木技術をいう。ここで版築の版は板を意味する。そして築は、つき固めるときにトントンと出る音を表す竹+工事に伴う杵+人が両手を伸ばして杵を持つ様子+板や棒杭を示す木から成っている。版築という漢字の起源が中国の商代の甲骨文字にさかのぼることからもうかがえるように、古くは河南省鄭州市に残る商城の城壁遺構において認めることができる。ここでは縞状の版築層の側面とともに、杵を使った痕跡を示す半球形のくぼみが無数に面的に検出されている。その後も現代まで版築工法が継承されている。その間、明・清時代には、版築で築いた土城の外面を塼(レンガ)で化粧し補強している場合が多い。版築工法は、朝鮮半島や日本列島にも伝えられた。朝鮮では三国時代以後、土城(土塁)・堤防などの構築に際し版築が行われた。そして、日本ではそのように朝鮮で行われていた版築工法が、飛鳥・白鵬時代の古代山城や羅城の土塁の築造に際し、技術移転された。その典型例は、大宰府防衛のために築かれた大野城や水城などの土塁に見ることができる。朝鮮や日本の古墳で墳丘の盛土に際し、縞状につき固めて盛り上げていることがしばしば観察される。しかし、この場合は木枠を用いていないので版築とはいえず、「版築状」といわれることが多い。

(西谷正)

以上、転載

 

*辞典解説文から漢字ピックアップ


ショウ、かき、へい