妻木晩田遺跡 むきばんだいせき
妻木晩田遺跡
むきばんだいせき
鳥取県西伯郡大山町大字富岡・妻木・長田および米子市(旧西伯郡)淀江町福岡に所在する。国内最大級の弥生時代の集落遺跡。大山山系から続く丘陵(通称晩田山)上に位置し、美保湾(日本海)を一望できる。1995〜98年(平成7〜10)にかけて、ゴルフ場建設計画に伴い、両町の教委により発掘調査が行われ、全国的な保存運動も展開された結果、保存され史跡整備がはかられている。
集落は平野部との比高差70〜100m程度の標高90〜120m前後の尾根上を中心に立地し、面積約170haに及ぶ。平成17年度調査までに18.4haが調査され、竪穴住居跡418軒、掘立柱建物跡505棟、墳丘墓24基、環壕などが検出されている。集落は弥生時代後期(Ⅴ期)を中心に中期後葉(Ⅲ-3期)から古墳時代前期前葉にわたって営まれている。概ね東側が住居域、西側の丘陵先端が首長墓域といった構成で、後期中葉以前には洞ノ原地区の最西端に環濠が機能していたものと考えられる。また住居域は、竪穴住居と掘立柱建物各3〜4棟の居住単位によって構成されるものと見られ、弥生Ⅴ-3期以降には鍛冶・玉造・土器焼成などの活動が認められる。さらに最高位に位置する松尾頭地区では、祭殿や首長住居と推定される建物跡も検出されている。建物としては土器、石器(調理具・農工具・狩猟具・武器)、鉄器(農工具・武器)、破鏡などが出土している。鉄器は鉇・斧・鑿・穿孔具・鍬鋤先・鎌・鉄鏃など、当該期のもののみで197点出土しており、大陸製のものも確認されている。
(岩田文章)
以上、転載
*辞典解説文から漢字ピックアップ
鉇
シ(柄の短いほこ)
鑿
サク、うが(つ)、のみ
