加茂岩倉遺跡 かもいわくらいせき
加茂岩倉遺跡
かもいわくらいせき
島根県雲南市(旧大原郡)加茂町大字岩倉の急峻な山の斜面に所在する弥生時代の青銅器埋納遺跡。1996年(平成8)農道建設工事中に銅鐸が出土した。埋納坑のほとんどはすでに破壊されていたが、発掘調査によって最終的に全国最多の39個の銅鐸を確認した。埋納坑は長さ2m、幅1m程度の方形をなす。埋納坑の西側にも同形態の土坑が発見されたが、銅鐸は発見されていない。出土した銅鐸は、15組30個の入れ子関係が判明しており、小型品19個はすべて外縁付紐1式四区袈裟襷文銅鐸である。大型品は外縁付紐2式(11個)と扁平紐2式(9個)に分かれるが、一部扁平紐1式あるいは突線紐1式になる可能性もある。鐸身文様は外縁付紐2式が二区・三区横型流水文と四区袈裟襷文で、扁平紐2式はすべて四区・六区袈裟襷文である。扁平紐2式は内区にトンボやシカ・イノシシ・イヌ・四頭渦文、紐に人面やウミガメなどを施し、これまでの絵画銅鐸にない特徴を持つことから出雲産の可能性が高い。同范銅鐸は15組26個に達する。紐菱環部に×印の刻印を施すものがある。埋納時期は弥生時代中期後葉から後期である。地理的関係や×印の共通性から荒神谷遺跡と密接に関係していると考えられ、弥生時代の青銅器祭祀や社会情勢を考察する上で極めて重要な遺跡である。
(足立克己)
以上、転載
