東九陵 とうきゅうりょう
東九陵
とうきゅうりょう
Dongguneung
韓国・京畿道九里市にある李朝(朝鮮)時代の陵墓群。首都の近郊に多く造営された陵墓群の一で、広大な丘陵地に築かれた東九陵は王宮から東方に約40㎞の所に位置する。ここは、太祖8年(1408)の太祖の健元陵に始まり、文宗・同妃顕徳王后の顕陵、宣祖・同妃懿仁王后・継妃仁穆王后の穆陵、顕宗・同妃明聖王后の崇陵、仁祖継妃莊烈王后の徽陵、景宗妃端懿王后の恵陵、英祖・同継妃貞純王后の元陵、憲宗・同妃孝顕王后・継妃孝定王后の景陵、そして、哲宗6年(1855)の文祖翼皇帝(孝明世子)・同妃神定翼皇后の綏陵まで、9陵17位の王と后妃の陵墓からなっている。
9陵の選地に当たっては、僧の無学が適地を選定したという伝説もあるが、むしろ、9陵の一つ一つの吉地が物色されたところ、結局ここに帰着したものといわれる。つまり太宗の時期に、中国の明使らが健元陵を巡視したとき、その山勢の妙なることを感嘆したように、東九陵の立地する地勢が、風水地理の理論に合致する有数の場所であることによる。東九陵という名称は、綏陵が9番目に遷奉された哲宗6年以後のことで、それ以前には東五陵とか東七陵の名で呼ばれた。丘陵上に築かれた個々の陵墓は、いずれも小型の円墳で、墳丘裾には化粧石と、その周囲に石欄干をまわし、またその前方には、陵墓を守護するかのように、石人・石獣などを配している。さらに墳丘のある丘陵南方の平地には、碑閣・丁字閣・紅箭門などの建造物がある。
(西谷正)
以上、転載
