水中考古学 すいちゅうこうこがく
水中考古学
すいちゅうこうこがく
水中考古学は、歴史学としての考古学に属する専門分野の一つである。陸上にある遺跡や遺物を扱うのではなく、海・河川・湖沼あるいは池などで、常に水面下にある遺跡や遺物を調査研究の対象とする。水中遺跡には、水面の上昇や河川の氾濫など自然環境の変化や、地滑りや地盤の沈降など地殻変動、あるいはダムなどの建設が原因で水没したものがある。また、沈没した船がある所も水中遺跡とする。1950年代後半から、欧米の大学や研究所が中心となって進められた水中考古学では、水没した港や沈没船とその積載品が調査対象となっている。米国のジョージ・バス博士を中心に実践されている水中考古学は、人類学としての考古学の専門領域に所属し、船舶考古学とか海洋考古学と呼ばれている。日本では現在379ヵ所以上の水中遺跡の存在が確認されているが、そのうち発掘調査が行われた遺跡はごくわずかである。1980年(昭和55)より発掘調査が続けられている長崎県鷹島海底遺跡は、元寇に関係した遺跡である。
(林田憲三)
以上、転載
