サーフィン文化 さーふぃんぶんか

サーフィン文化
さーふぃんぶんか
Sa Huynh culture

ベトナム中部に分布する鉄器時代文化。海岸平野や川沿いに形成された砂丘上に立地する甕棺墓地を特徴とする。甕棺は一般に長胴形もしくは球胴形の丸底甕と、帽子形の蓋とがセットとなり、直立状態で埋められる。甕は下半部に縄蓆文が残り、大型のものは口径50㎝、高さ1m前後に達する。蓋には線刻文様と赤色・黒色塗彩が施される場合が多い。副葬遺物としては土器・鉄器(斧・鉈・刀子・槍先・剣など)、ビーズ(材質はカーネリアン・瑪瑙・ネフライト・ガラスなど)、サーフィン文化の特徴的な遺物とされる耳飾(形態は双獣頭形・有角玦状・玦状。材質はネフライトもしくはガラス製)があり、青銅器の副葬品は少ない。クァンナム省トゥーボン川流域では甕棺内から前漢鏡・五銖銭・王莽銭の出土も報告されている。装身具あるいはその原材料の多くは外来のものと思われ、一方で双獣頭形と有角玦状の耳飾がフィリピン、台湾蘭嶼、タイからも発見されることから、海を越えた長距離交易が行われていたと考えられる。川沿いに内陸山間部まで伸びる遺跡分布は、河川交通の重要性を物語る。サーフィン文化の開始年代には異論があるが、BC3世紀ごろ、終末年代はAD1世紀後半と見られ、ベトナム北部のドンソン文化とおおむね並行する。代表的な遺跡としてサーフィン遺跡、リーソン島のソムオック遺跡、トアティエンフエ省コンラン遺跡、クァンナム省内陸部のビンイェン遺跡、平野部ホイアンのハウサー遺跡などが知られる。

(山形眞理子)

以上、転載