新町遺跡 しんまちいせき
新町遺跡
しんまちいせき
福岡県糸島郡志摩町大字新町字ギ丁原に所在し、引津湾に面した砂丘上に立地する。弥生文化形成期の墓地遺跡。志摩町教委が1986年度(昭和61)から数次にわたる範囲確認調査を実施した。遺跡の主体をなすのは弥生時代早・前期の墳墓群で60数基が検出された。支石墓(内部主体は木棺)が墳墓群の3分の1ほど、木棺墓が半数強、甕棺墓が1割ほどの比率である。弥生時代早期から前期前半の段階での人骨の出土例はきわめて少ないが、ここでは16体分が発掘された。数体の観察・計測可能な人骨は、低顔・低身長の特徴をもち、風習的抜歯を施しており縄文人的体質に近い。地理的にはもっとも朝鮮半島に近いこの地域で、このような特徴を持つ人骨が出土したことは、弥生文化の開始を担った人々についての問題に一石を投じた。また24号人骨の左大腿骨頸部には、柳葉形磨製石鏃が射込まれており、この人骨の下肢骨下部の腰壙からは、少年〜若年ごろの歯・頭骨片が出土し、早期末における戦闘、首級を上げる風習などの存在が明らかとなった。この遺跡からは半両銭・貸泉なども出土しており、対外交易の拠点であったことも示している。
(橋口達也)
以上、転載
