福井洞窟 ふくいどうくつ

福井洞窟
ふくいどうくつ

長崎県佐世保市(旧北松浦郡)吉井町にある洞窟遺跡。福井川の浸食によってできた洞窟で開口部幅15m、奥行8mを測る。1963・64年(昭和38・39)発掘調査が行われ、15枚の土層中、7枚の文化層が確認された。主要遺物と年代測定値は、第Ⅱ層:爪形文土器と細石器(約12400年前)、第Ⅲ層:細隆起線文土器と細石器(約12700年前)、第Ⅳ層:細石器と安山岩製尖頭器、第Ⅶ層:黒曜石主体の石核と縦長剝片(約13600年前)、第Ⅸ層:石核と剝片(黒曜石製品なし)、第ⅩⅤ層:両面加工の大型掻器(約31900年前)である。これまで、旧石器時代の所産とされていた細石器が爪形文・隆起線文に伴ったことで、旧石器時代と縄文時代との間に縄文時代草創期の存在が明らかになり、土器文化の始原期の問題が提起されることとなった。

(正林護)

以上、転載