泉福寺洞穴 せんぷくじどうけつ
泉福寺洞穴
せんぷくじどうけつ
長崎県佐世保市瀬戸越町にある洞穴遺跡。相浦川の支流泉福川の谷に面した標高約90mの砂岩露頭に四つの小洞穴が開口している。1970〜79年(昭和45〜54)の発掘調査によって12枚の文化層が確認された。このうちⅫ・Ⅺ層は旧石器時代、Ⅹ層は縄文時代草創期の豆粒文土器の文化層で細石刃核307点、細石刃3098点が共伴した。Ⅸ〜Ⅶ層は隆起線文土器の文化層で細石刃核341点、細石刃9556点が伴出した。Ⅵ層は爪形文土器、Ⅴ層は押引文土器で細石刃核と細石刃が数量を滅じながら共伴した。Ⅳ層は縄文時代早期の条痕文土器文化層で、細石刃核・細石刃は姿を消し石鏃が伴出した。隆起線文土器は同県佐世保市(旧北松浦郡)吉井町の福井洞窟で確認されていたが、泉福寺洞穴では隆起線文土器の下層で豆粒文土器が出土したことで、土器の出現期がさらに古くなることが確認された。
(正林護)
以上、転載
