勾玉〔朝鮮〕 まがたま

勾玉〔朝鮮〕
まがたま

朝鮮半島では曲玉と書くことが多い。文字どおり湾曲した玉で、一端に近く孔をうがち、装身具用の垂飾品とした。勾玉は櫛目文土器(新石器)時代に始まるが、それは不整形で実例も少ない。その起源は動物の歯牙製垂飾品に求められよう。無文土器(青銅器)時代に入ると、形態・材質ともに多様なものが認められる。原三国(三韓)時代では、南部の南岸地域に限って実例が知られるが、そこで初めて断面が円形に近く、定形化したC字形の水晶製品が出現している。優美な勾玉が盛行するのは三国時代に入って、それも新羅においてのことである。百済や加耶でも知られるが、類例は少ない。新羅の勾玉の材質は硬玉・瑪瑙・水晶など多種であり、また、装身具のみならず、金冠などの垂飾品にも用いられた。新羅・加耶の勾玉のなかには、倭からもたらされたものも含まれるようである。なお、南部地方では、大型の勾玉形をした母体に小型の勾玉形をいくつか付着させた子持勾玉が数例、母子曲玉の名で知られる。

(西谷正)

以上、転載