地震考古学 じしんこうこがく
地震考古学
じしんこうこがく
考古学の遺跡に刻まれた地震の痕跡を総合的に研究する分野として、1988年に提唱された。地震国日本では、遺跡の発掘調査の過程で、活断層の痕跡をはじめ、激しい地震動に伴う地割れ・地滑り・液状化現象などの痕跡が数多く検出されている。そして、これらの痕跡と遺構・遺物との前後関係を考えることによって、大きな地震が発生した年代が求められる。日本列島の太平洋側海底で発生する東海地震や南海地震については、歴史史料と地震の痕跡の研究から、両地震が90〜150年の間隔で発生し続けてきたことがわかった。1596年に京阪神・淡路地域を襲った伏見地震のような、活断層の活動に伴う大地震についても、周辺の遺跡から、地盤災害に関する資料が数多く得られている。一方、大地震の被害を受けて寺社や集落が廃絶した事例や、地震を対象とした縄文〜弥生時代の祭祀行為の痕跡も認められている。滋賀県長浜市では、1586年1月18日の大地震で倒壊した家屋から大量の遺物が発見され、当時の人々の暮らしが生々しく再現された。
(寒川旭)
以上、転載
