動物考古学 どうぶつこうこがく

動物考古学
どうぶつこうこがく

遺跡出土の骨角・鱗・貝殻・皮革・動物意匠遺物などの動物関連の遺物により、人間と動物との関係を研究する考古学の一分野。狩猟・漁労技術、家畜化の起源とその系統、品種改良、動物儀礼、役畜の役割、食肉生産、死んだ家畜の資源利用などが主要なテーマである。日本では長らく縄文時代の貝塚や洞穴遺跡が研究の場であったが、湿地考古学の進展により、弥生時代から歴史時代の動物考古学も発掘例が増加し盛んになりつつある。基本は遺跡出土の動物遺存体の種名、部位を固定し、どの動物が、どれだけ、どのように出土したかの報告から始まる。そこから歯や貝殻に見られる成長線の分析による動物の死亡年齢や季節性の推定、特定部位の計測により大きさの復元、雌雄判別や去勢の有無、家畜化の進行、骨の放射性炭素年代測定、安定同位体による食性分析、DNA分析などが試みられている。考古学的には狩猟・漁労法、動物の解体調理法、骨角器製作技術、栄養価の推定、動物にかかわった人々をめぐる差別の歴史などが研究されている。

(松井章)

以上、転載