グラズコヴォ文化 ぐらずこぶぉぶんか

グラズコヴォ文化
ぐらずこぶぉぶんか
Grazkovo culture

ロシア・東シベリア、アンガラ・バイカル地域の青銅器時代初頭の文化。ブラーツクまでのアンガラ流域、レナ上流域、セレンガ上流域で、墓跡や居住跡と推定される多層遺跡が知られ、遺物は豊富である。人の顔・全身のシカ・マンモスの骨角製品や魚形石器と骨器、軟玉製の環・円盤、大理石・貝製の丸玉や平玉など民俗色の濃い遺物を伴う。石器には磨製石斧・矢柄研磨器・組合せ式釣針石製軸部のほか、多種の鏃・槍先・ナイフ・スクレーパー・錘などの打製石器に加え、植刃の短剣があり、骨器には銛・釣針・鏃・針・錘・匙がある。銅・青銅の金属製品は少なく、有柄ナイフ・ナイフ状小板・釣針・針がある。土器は丸底の深鉢で整形に叩き手法が使用され、器面は碁盤目状と無地の2種がある。前者は北方のウイミャフタフ文化の土器に類似する。後者は胴上部に刺突文列が施される。当初のA.P.オクラドニコフの編年では、BC17〜12世紀のキトイ文化に後続する時期とされたが、現在多層遺跡を加えた分析から起源・系統・存続期間について議論が分かれ、編年の枠組み自体がくずされた扱いが行われている。C14年代に依拠して、年代は大きく変更され、新石器時代にさかのぼるBC3000年紀前半〜2000年初頭の時期に位置づけられている。

(藤川繁彦)

以上、転載