櫛目文土器 くしめもんどき

櫛目文土器
くしめもんどき

櫛歯状の施文具で文様の施された土器の総称。世界各地の各種の土器に認められるが、狭義には北ヨーロッパから西シベリアにかけて分布する新石器時代の土器を、また朝鮮半島の新石器文化相当の時代の有文土器ないし幾何文土器とも呼称されるものを指すのが普通である。朝鮮半島の櫛目文土器は、ユーラシア北部と同じように、串状あるいは櫛歯状の施文具で、幾何学的な文様を施したものが主体である。櫛目文土器が盛行した時代を櫛目文土器時代ともいい、ほぼ新石器時代に対応する文化段階である。朝鮮半島のなかでも、地域や時期によって多様性を示す。北東部では平底の深鉢が特徴的で、典型的な櫛目文が見られない。北西部から中部にかけては、尖底に典型的な櫛目文が一般的である。それに対して、南海岸では丸底・尖底・平底のものがあり、櫛目文のほか隆起文を施すものが知られる。また時期が下るにつれ、文様が減少する傾向を示し、無文土器(青銅器)時代へ移行する。なお、釜山広域市の東三洞遺跡では、九州の縄文土器も出土している。

(西谷正)

以上、転載