人面付土器 じんめんつきどき

人面付土器
じんめんつきどき

人面表現を持つ土器は世界各地に存在し、日本列島では縄文時代前期以降に散見されるようになる。縄文時代中期中葉の中部高地〜関東地方で深鉢口縁部に人面付の把手が発達するほか、晩期の関東地方、弥生時代中期前半の中部〜東北南部、弥生時代終末〜古墳時代前期の東海〜関東地方で数が増加する。縄文時代中期の把手の人面は、土器の内側を向くことが多く、立体的表現が特徴である。胴部に同様の人面を付すこともある。弥生時代中期のものは、壺全体を人体に見立て、口縁部に人面を立体的に表現する。縄文時代晩期の土偶の系譜を引き、土偶形容器との関係が深い。主に再葬墓の棺として用いられた。弥生時代終末〜古墳時代前期のものは、壺胴部に対弧状の顔面装飾を持つ人面を線刻で描くことが多い。同様の線刻は、木製品や土製品・埴輪などにも見られる。人面表現を持つ土器は、その特異性から古くより注目を集めてきたが、いずれもその意味については解明されていない部分が多い。

(安藤広道)

以上、転載