釉 うわぐすり
釉
うわぐすり
一般に陶磁器は素地のまま焼成した段階では透水性があって、中に入れた液体が器外に滲み出る。器に不透水性を持たせるために器の内・外、あるいは両面に被せるガラス質の膜の原料になる溶液を釉という。また表面を艶やかに、あるいは鮮やかに美しく飾り、物理的強度を増す効果も持つ。釉は焼成温度によって高火度釉・低火度釉に分類され、媒溶剤の主成分である珪酸が高熱のもとで、他のものと化合してガラスを作るとき、その相手となる物質、すなわち塩基によって、アルカリ釉・鉛釉・灰釉(長石釉)などに分かれる。また、呈色剤として加える金属化合物によって鉛釉・銅釉・鉄釉など、色によって緑釉・褐釉・黄釉など、外観によっても透明釉・不透明釉・マット釉などにそれぞれ分類される。釉の色調は含有する金属の種類や量と媒溶剤の持つ微妙な成分の違いによるさまざまな組み合わせ、焼成の還元焔、酸化物の別によって微妙に異なり、変化する。銅精錬技術の発達の過程において生じたとされる鉛釉系の彩釉陶がBC15世紀頃の西アジアにおいて実用化したと考えられている。また、BC14〜15世紀の中国においても灰釉を施した一種の施釉陶器(原始瓷器)が知られている。なお、酸化マンガンを呈色剤とした青色鉛釉による施釉石製品(ファイアンス)は、BC4000〜5000年の王朝成立以前のエジプトで、すでに出現したとされている。
(上田秀夫)
以上、転載
*辞典解説文より漢字ピックアップ
瓷
シ、ジ、いしやき、かめ
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