新羅三彩 しらぎさんさい
新羅三彩
しらぎさんさい
朝鮮半島の統一新羅時代に製作された、三彩釉を施した陶器。遺品は数少なく、韓国・国立中央博物館所蔵の有蓋高坏は、蓋受けの立ち上がりのある浅い杯部に、低い鈍重な感じを与える脚部がつく、統一新羅時代の土器に通有の器形を示す。蓋は、つまみを欠失しているが、そこを中心に、二重円圏列文・二重圏線文・複合鋸歯文で上半部を飾る。器表全面にかけられた釉薬の色調は、褐色地に赤黄色と緑色が部分的に見られ、三彩の発色が鮮明でない。胎土は、白色に赤味をわずかに帯びた軟陶で、低火度の鉛釉を用いたものである。また、これと文様・色調・胎土が同一で、おそらく製作地・出土地も同一と考えられる高台付蓋杯がある。これらは、蔵骨器として使われ、また、慶州出土とされる。新羅三彩の分布は、おそらく王都の慶州に限られ、使用者も王族・貴族・高僧など、きわめて限られた階層の人びとであったろう。統一新羅時代に、唐と新羅の間の頻繁な交流の過程で慶州にもたらされていた、唐三彩を模倣して新羅三彩が製作されたと考えられる。
(西谷正)
以上、転載
