ウリル文化 うりるぶんか
ウリル文化
うりるぶんか
Ul’r culture
ロシア・アムール川(黒龍江)中・下流域に広がった、ポリツェ文化に先行するBC1000年紀中葉の文化。対岸の中国側にも予想されるが不明である。沿海州のヤンコフスキー文化とほぼ同時期であり、やはり鉄器がわずかに伴う。集落は河岸ないし湖岸に立地する。竪穴住居は隅丸長方形で、大きいものは200㎡に達するものもあるが、普通は50〜80mである。口縁の広がる壺が伴うが、高坏はない。赤色磨研土器がある。幾何学文などの沈線文が施される。この時期までには農耕が行われており、ブタの飼育も始まっていた。農耕具とされる石器には、石製土堀り具や磨臼があるが、石包丁はない。魚網用の石錘と見られるものが多い。農耕は、豊かなアムール川に依存した漁労や狩猟・採集を補う程度のものであったろう。狩猟具・武器としては、石鏃のほかに磨製の石槍が見つかっている。
(大貫静夫)
以上、転載
