オクネフ文化 おくねふぶんか

オクネフ文化
おくねふぶんか
Okunev culture

ロシア・南シベリア、エニセイ川中流域に、アファナシェヴォ文化に続いて出現した。銅石器時代の狩猟と漁労を交えた牧畜文化、かつてはアンドロノヴォ文化の初期に位置づけられていたが、現在は独立した先行の文化として扱われている。モンゴロイド的形質を含み、狩猟と漁労に重点が置かれるなど、前後の時代と比較して内容的にかなり異色な性格を持つ。埋葬施設は墓域を画す方形の石囲いと、内側の数基から20基の箱状の石棺墓からなる。墓葬にはクマ・オオカミ・シカ・コスリャ・マラル・黒テン・キツネ・マーモット・カワウソ・山猫・ツルの骨や、歯牙・嘴製の頸飾や護符が伴う。護符には石製品もあり、線刻や彫刻で人の顔や女性像をかたどっている。ほかに集落跡も数ヵ所発見され、ウシ・ウマ・ヒツジの頭骨などを埋納した祭祀遺構が知られている。この時期の土器は、繁褥な文様が器面全体に施された単純な深鉢で個体差が大きい。文様は鋸歯状などの型押文や刺突文で、縦・横・斜行の多条の平行線文で構成され、まれに幾何学的や粗い格子目状に表現したものもある。骨器には弓・鏃・銛・釣針・針・錐がある。石器には石斧・石鏃・石槍・石製ビーズがあり、銅・青銅製品はわずかで短剣・ナイフなどがある。ほかに怪獣やウシなどが線刻された板状や柱状の石像があり、この時期特有のものとされたが、新石器時代からの伝統と異を唱える見解もある。

(藤川繁彦)

以上、転載