磁山文化 じさんぶんか

磁山文化
じさんぶんか
Chshan wenhua

中国・河北省武安県の磁山遺跡を標準とする、黄河中流域東北部の7000〜8000年前の新石器文化。河北省文物管理処などが1973〜78年に磁山遺跡を発掘調査し、第1・2文化層が従来、この地域最古の新石器文化であった仰韶文化後崗類型に先行することが判明したので、磁山文化を設定した。土器ではビーカー形の鉢(盂)とそれを火にかける際に載せる支脚、三足付浅鉢が、土器文様では櫛歯状工具の圧痕文と之字文が、石器では脚付石皿が、後崗類型にない新しい特徴である。第1文化層と比べて上層の第2文化層では、精製土器と赤褐色を帯びた土器の割合がやや増加、壺が新たに出現、縄文や櫛歯状工具の圧痕文と之字文が減少し、無文が増加するなどの変化がある。直径約2mの円形竪穴住居2軒と、土坑430余基が発見された。土坑の約2割がアワなどの貯蔵穴である。石鋤の存在、イヌや現在のところ中国最古のブタなどの家畜の存在は、比較的安定した農耕社会であったことを示す。河南省の裴李崗文化とは並行関係にある。

(佐川正敏)

以上、転載