石刃鏃文化 せきじんぞくぶんか

石刃鏃文化
せきじんぞくぶんか

石刃鏃とは、石刃技法によって作られた中型の石刃の腹面に細かく加工を加え鏃にしたものである。背面には2本の稜がそのまま残り、両側縁には精緻な加工が見られる。主に北海道東北部に分布する縄文時代早期前半の文化で、石刃鏃以外に石刃槍・彫刻器・掻器・磨製石斧・石鋸・砥石・石錘・敲石などの各種石器と、女満別式・浦幌式・東釧路Ⅲ式土器などと呼ばれる土器と伴出したり、あるいは石器だけ単独で出土する。現在北海道では100ヵ所を超える遺跡が知られているが、その広がりは石狩低地帯以東が主たる分布圏で、上川・富良野などの内陸部から十勝・釧路・網走などオホーツク海沿岸に及んでいる。また、宗谷海峡を越えてサハリンにも遺跡が広がり、アムール川流域・沿海州地方・中国東北地方・モンゴル・アルダン川流域・バイカル湖周辺にまで及ぶことが知られている。

(野村崇)

以上、転載