馬家浜文化 ばかひんぶんか
馬家浜文化
ばかひんぶんか
Majiabang wenhua
中国・長江下流域の新石器時代文化。浙江省嘉興県馬家浜遺跡を標準遺跡とする。1957年呉興邱城遺跡の発掘によって下層の赤色土器を主体とする文化層が発見され、59年に馬家浜遺跡で同類遺存が確認された後、青蓮崗文化あるいは青蓮崗文化江南類型の馬家浜期と呼ばれていたが、1970年代以降、馬家浜文化の名称が定着した。土器には夾砂紅陶と泥質紅陶があり、赤色スリップを欠けたものも多い。器形としては、腰沿釜・釜形鼎・ラッパ形脚の豆・壺・大口鉢などがある。生産工具では石●・有孔石斧、木鏟などが出土している。主に太湖地区に分布し、南は浙江省銭塘江北岸、西北は江蘇省常州一帯に至る。BC5000〜4000年紀に展開し、その後崧沢文化へ移行する。浙江省羅家角遺跡では同文化の層序的な時期変遷が明らかになり、早期段階は寧紹地区の河姆渡文化に相当する年代を示す。
江蘇省草鞋山遺跡の水田遺構の検出によって、初期稲作農耕の様相が明らかになったが、狩猟・漁労・採集の比重も高かったと考えられる。イネには粳稲と籼稲の2種類がある。ブタ・イヌ・スイギュウなどの家畜の遺体も検出された。住居関連では、羅家角遺跡で建築部材が出土したほか、高床式と想定される住居跡や平地式住居跡が確認されている。草鞋山遺跡などでは多くの墓葬を伴うが、副葬品は実用的な土器を主とし、その数量は少ない。
(渡辺芳郎・後藤雅彦)
以上、転載
*辞典解説文より漢字ピックアップ
豆
ズ、トウ、まめ、たかつき
意味:供物をのせる器、春秋時代の量の単位
鏟
サン
意味:木や石を平に削る道具、土を削り取る道具。かんな。シャベル。
粳
コウ、うるち、ぬか
籼
セン
