月城路古墳群 げつじょうろこふんぐん

月城路古墳群
げつじょうろこふんぐん
Weolseongno-gobungun

韓国・慶尚北道慶州市皇吾洞・仁旺洞に所在する三国時代新羅の古墳群。1985年、慶州市の市街地東側を通る月城路の改修工事に伴う下水溝整備工事中に発見され、幅わずか2m内外であったが、八友亭ロータリーより南東部分において総延長670mが国立慶州博物館および慶北大学校考古人類学科・同大学校博物館により発掘調査された。調査区はka・na・taの3地区に分けられ、ka地区で30基、na地区で14基、ta地区で12基の計56基の古墳が調査された。統一新羅時代以降の継続的な都市建設などによって墳丘は削平され、上部構造は知ることができないが、内部主体は多種多様で木槨墓・積石木槨墳30基、石槨墓7基、甕棺墓5基、そのほか破壊がひどく構造を明確に把握できなかった古墳14基に分けられ、時期は4世紀末葉から6世紀後半にわたる。

ka-29号墳・ka-30号墳・ka-31号墳では、慶州盆地地域で最終末の古式陶質土器が出土している。ka-29号墳では日本列島から渡来したと思われる滑石製石釧、ka-31号墳では形状が日本の土師器(布留式)によく似た赤褐色軟質土器の高坏・小型甕・小型器台が出土している。ka-5号墳・ka-13号墳では加耶系坏部を有する高坏が見られる。ka-5号墳のものには咸安系の火焔型透孔高坏があり、高句麗系の緑釉小壺も出土している。また比較的小型の積石木槨墳であるka-13号墳では、同一木槨内に5人の被葬者が確認されたが、横穴形石室導入以前の積石木槨墳では、単葬が基本である慶州古墳において、極めて特異な葬法である。同墳では金製頸飾や金製耳飾、金・銀製盌、ローマン・グラスの坏など、その規模に比して華麗な装身具や容器を豊富に出土し、また大刀・剣10口をはじめ盛矢具や鏡板付銜などの武具・馬具も多く出土し注目される。

本古墳群調査時まで、慶州盆地地域で発掘された例がなかった4世紀代の新羅初期古墳が初めて調査され、新羅土器出現期前後の状況を探る上で、また4世紀末葉から5世紀中葉にかけての高句麗・加耶・倭系の文物やローマン・グラスが出土し、当時の新羅の国際交流の様子をうかがわせる古墳群として重要である。

(藤井和夫)

以上、転載

 

*辞典解説文より漢字ピックアップ


ワン


カン、ガン、くつわ、くらい