龍江洞苑池遺跡 りゅうこうどうえんちいせき

龍江洞苑池遺跡
りゅうこうどうえんちいせき
Yonggang-dong-wonjiyujeok

韓国・慶尚北道慶州市龍江洞に所在する、統一新羅時代の苑池遺跡。1998・99年に小学校建設に伴って、嶺南文化財研究院によって発掘調査された。慶州盆地のやや北部の沖積地に位置し、城東洞殿廊跡(南約2.3㎞)や月城(南約3.5㎞)とほぼ南北一直線に並んでいる。統一新羅時代前期の8世紀に造営されたものと推測されている。遺構は、方形を基本としながら、一部曲線を表現した石組みの池が確認されている。南北約66m、東西38m、深さ約80㎝の大きさで、北はさらに延びる。護岸は簡単に加工した長方形の割石や自然石を数段積んでいる。池のなかには二つの人工島があり、北側人工島はごく一部確認しただけで、詳細は不明である。池中央の人工島は、外側の池の形と基本的には同じように造られている。島の大きさは南北約25m、東西約20mで、護岸は周囲の池の護岸同様、割石と川原石による石築である。島の高さは現状で約80㎝である。この島の東部には、対岸の建物とつなぐ木橋(橋脚幅約3m)が架けられていた。池のなかには数ヵ所の景石状石組も築かれている。池の底は褐色粘土と川原石が敷かれている。取水施設は池の南東方向から延びてきて、池の南岸中央付近に接続する。水受施設は割石で護岸に接して池の底に築かれている。遺物としては、軒丸瓦が200余点と鬼瓦が数点出土している。ただ軒平瓦は未確認で、軒平瓦を使用しない建物の可能性がある。土器は印花文土器が多数を占めている。雁鴨池よりは新しく。8世紀代に築造された王宮関係のものと推測されているが、詳細はわかっていない。統一新羅時代の庭園史、都城景観を考える上で極めて重要な遺跡である。

(亀田修一)

以上、転載

 

 

*mapは慶州市龍江洞のエリア