金牛山人 きんぎゅうさんじん

金牛山人
きんぎゅうさんじん
Jinuiushanren

中国・遼寧省南部、栄口市の南西8㎞に位置する金牛山の石灰岩洞窟で、1984年に発見された人類化石。保存の良い頭蓋(下顎を除く)のほか、6個の脊椎骨、2本の肋骨、左尺骨、左寛骨、左膝蓋骨、9個の手根骨、9個の手骨、11個の足根骨、15個の足骨からなる。いずれも1体の壮年男性のものとされる。手骨と脊椎骨各1個のほかは、すべて洞窟南壁から約2m離れた位置(1.6㎡の範囲)から出土した。ウラン系列法やESR法(電子スピン共鳴法)などによる検討の結果、約20万年前かあるいはそれを少しさかのぼる時代のものとされている。スクレイパーを主とする小型の前期旧石器が伴出し、周口店第一地点出土の石器群との類似性が指摘されている。眼窩状隆起の発達は大苓人に比べてやや弱いが、眼窩後狭窄はより強い。上顎切歯はシャベル型で、現代人に比べて小臼歯、大臼歯の咬頭に原始性が見られる。

(中橋孝博)

以上、転載