柳江人 りゅうこうじん

柳江人
りゅうこうじん
Liujiangren

中国・広西壮族自治区柳江県にある通天岩の岩穴から、1958年に発見されたほぼ完全な頭蓋(下顎を除く)と、2本の大腿骨・右寛骨・仙骨および椎骨で、40歳前後の中年男性と見なされている。時代はウラン系列法で、一応67000年前との結果が出されているが、異論もあり不明確である。石器は発見されていないが、大パンダー剣歯像動物群(Ailuropoda-Stegodon Fauna)に属す動物化石を伴う。脳頭蓋は中頭型(長幅示数は75.1)で、矢状縫合の後端部(ラムダの直前部)辺りがやや凹み、後頭骨が強く突出していること、また、ブレグマの位置がかなり後方に位置する点などの特徴が見られる。顔面は低く、広顔性が強く、眼窩も低く、鼻骨の湾曲は軽微で、梨状孔は広い。華北のかなり高顔傾向が強い北京山頂洞人とは異なる点が多いが、沖縄の港川人とは類似性が見られ、両者の関連性が指摘されている。顔面の扁平性などに現代モンゴロイド的な特徴も見られるが、全体的に山頂洞人や資陽人よりは原始的とされる。右大腿骨から推定された身長は157㎝と低い。

(中橋孝博)

以上、転載