雲鶴里古墳群 うんかくりこふんぐん

雲鶴里古墳群
うんかくりこふんぐん
Unhak-ri-gobungun

韓国・全羅北道井邑郡永元面雲鶴里54林に所在する。塔立部落北方の低い丘陵の稜線上に築かれた3基の円墳からなる。1971年の踏査で盗掘が確認され、発掘が行われた。埋葬施設の竪穴式石槨は、公州・扶余地方の百済式横穴式石室墳に先行すると考えられている。直径はA号墳14.6m、B号墳13.5m、C号墳13.7mを測るが、封土の流出が甚だしいものの最高所にあり、石槨の規模も大きいC号墳が主墳と考えられる。盗掘が甚だしく、C号墳からのみ鉄矛・鉄刀・鉄製杏葉(帯金具?)・鍍金銀板絞具(胡籙)・鉄地鍍金銀板張帯金具・銀製鞘端金具や、組合せ式木棺の存在を示唆する鉄釘、および土器片が採集された。竪穴式石槨であることや土器・飾金具類から4世紀末〜5世紀中頃の築造と推定されている。帯金具は透彫龍文の細部をさらに線刻で表現し、周囲に波状列点文をめぐらせた比較的精巧なもので、百済古墳には類例がない。新羅地域でも数は少なく、初期の乗馬用馬具や帯金具を出土した慶州の皇南大塚南墳や、日本の中期古墳の大阪府七観古墳・奈良県猫塚古墳に類例が見られる。

(中村潤子)

以上、転載

 

 

*mapは井邑市雲鶴里のエリア