宋山里古墳群 そうざんりこふんぐん

宋山里古墳群
そうざんりこふんぐん
Songsan-ri-gobungun

韓国・忠清南道公州市にあり、公州市街の北西郊外、宋山里の丘陵地に築造された三国時代百済中期の古墳群。『東国輿地勝覧』公州の条には「郷校、在州西三里、西有古陵墓、諺伝百済王陵、未知何王」とあり、李朝(朝鮮)時代中期のころから永らく、古墳群の中に王陵が含まれることが伝えられてきた。1971年に偶然、武寧王と王妃の陵墓であることを示す買地券を伴った古墳が発見されたことによって、宋山里古墳群が、百済中期熊津時代の王陵を含む陵墓域に当たることが確定的となった。古墳群は、3群20基余りから構成されるが、ほとんどが丘陵地中腹に南面して築造された。そのうち、円墳の外形を残す古墳は少ない。朝鮮総督府が1927年(昭和2)に、東西に並ぶ5基の古墳群のうち3基を発掘調査した。いずれも割石積みの持送りの強い横穴式石室であって、壁面には漆喰を塗る。1932年には、これらの古墳群の西側の丘陵支脈の先端付近で、宋山里6号墳が発見された。この古墳は塼築墳であって、四壁に四神図などの壁画を描いていた。さらに、1971年に宋山里6号墳の北東方の背後で、武寧王陵が発見された。それまで知られていた古墳は、盗掘などによって副葬品をあまり残さなかったが、武寧王陵では未盗掘のため内部が完全に残り、豊富な副葬品や装身具が出土した。宋山里6号墳や武寧王陵に見られる塼築の墓室構造と、武寧王陵出土の陶磁器などにおいて、百済と中国南朝、特に梁との密接な関連が見出せる。

(西谷正)

以上、転載