長鼓峰古墳 ちょうこほうこふん
長鼓峰古墳
ちょうこほうこふん
Janggobong-gobun
韓国・全羅南道海南郡北日面方山里所在の朝鮮半島最南端、最大の前方後円形古墳。「新芳古墳」ともいう。城馬山から延びた支丘の稜線上に位置し、方形部を北側、円形部を南側に置き、方形部側で西側に5°ほど偏している。全長約76m、円形部幅43m、同高約10m、方形部幅37m、同高9m、くびれ部は幅30m、同高6mで、円形部よりも約3m低い。2000年に実施された盗掘後の応急的な調査で円形部中央から南西側に偏って築造された西側に開口する横穴式石室が確認された。封土の基底部から4.7m上に築造されており、玄室の平面形は前壁側が狭い羽子板形を呈する。玄室長4.6mで、奥壁は幅2.4m、同高1.9m、前壁は幅2.1m、同高1.8mを測る。天井高は前壁が奥壁よりも0.1m低く、奥壁から前壁に傾斜をなす。玄室壁面は最下段と天井は板石を利用し、ほかはすべて割石を11〜12段積んで仕上げていた。前後壁は垂直に積み上げ、両側壁は床面から漸次内側に迫り出して積み上げ、床面幅に比して天井部幅を大きく減少させている。天井部界の壁石の間隙は黄白色粘土を充填して壁面を整え、玄室の壁面と天井は全面にわたり鮮やかに朱彩されていた。床面は奥壁側に2.7×1.8mの巨大な板石1枚を置き、ほかは小振りの板石を敷きつめていた。
玄門部分は長さ0.7m、幅0.58m、高さ1.15mを測り、両側に板石を立てて上端には割石を5段ほど積み上げ、板石を架構して楣石としていた。羨道は長さ4.0m、幅1.2mを測る。玄室の中央に位置し、壁面を割石で積み上げ、天井は大型板石3枚を架構したもので、玄門側は天井高を玄室に揃えるが、羨門に向かって傾斜しており、閉塞部付近では1.3mほどとなっていた。羨道閉塞は割石を一列に積み上げていたものと推定される。出土遺物は、玄室内で小札片と推定される鉄器片がところどころで見られたに過ぎない。古墳の周辺と封土上で採集された遺物の中に、円筒形土器片も含まれており注目される。
(大竹弘之)
以上、転載
