定陵寺跡 ていりょうじあと
定陵寺跡
ていりょうじあと
Jeongneungsa-ji
北朝鮮・ピョンヤン特別市力浦区域龍山里にある三国時代高句麗の寺院跡。史跡整備のため、1974年に金日成綜合大学が発掘調査した。その結果、東西223m、南北132.8mの範囲に回廊がめぐり、その内部で礎石建物18棟の遺構が検出された。中心伽藍を見ると、中門を入ってすぐの所に八角形基壇を持つ塔があり、その左右(東西)にそれぞれ南北棟が立ち、鐘楼・経蔵と推定される。八角形の背後には、東西方向の回廊をはさんで、東西方向に三金堂が並立する。さらに北側には、やはり東西方向の回廊をはさんで、東西方向に長い講堂と、その東と東北側には付属建物がそれぞれ1棟ずつ立つ。この中心伽藍の配置は、高句麗に特徴的な一堂三金堂式を示す。中心伽藍の東西には、それぞれ付属建物群が認められる。寺跡から出土した遺物の中で特に注目されるのは「定陵」「陵寺」の刻字のある土器片である。このことから、寺跡の寺名が定陵寺であることがわかった。このことと関連して、寺跡の北西150m付近に所在する真坡里10号墳が、高麗時代いらい伝承されてきた東明王陵である可能性がいっそう強まったといえる。5世紀前半ごろの築造である。
(西谷正)
以上、転載
