胡禄・胡籙 ころく

胡禄・胡籙
ころく

矢を入れる容器としての武具には、靫と胡禄の2種類がある。普通、靫は鏃を上に向けて比較的大形の矢筒に入れて背中に背負うもので、歩兵用の武具であるのに対して、胡禄は鏃を下に向けて比較的小形の矢筒に入れ腰に下げるもので、騎馬兵の武具として適している。このような靫や胡禄の使用法は、北東アジアの古代では土俑・陶俑・壁画などから知ることができる。中国では『周禮』などの古典に「箙」「服」と見え、獣皮や竹などで作られていたようである。『新唐書』や日本の『東大寺献物帳』では「胡禄」と記され、正倉院には遺品が少なからず遺存する。胡禄の胡が示すように、もともと西方起源のもので、BC5〜4世紀ごろのスキタイ騎馬遊牧民族文化に実例を見出す。中国の戦国時代併行期のパジリク文化の胡禄もその流れを汲むものである。中国では戦国時代以降、華北地方で主として見られるが、朝鮮へは南北朝時代の北朝からまず三国時代の高句麗、ついで百済・新羅・加耶へと伝わった。日本へは古墳時代の中期、5世紀ごろに加耶から伝えられた。

(西谷正)

以上、転載

 

*辞典解説文より漢字ピックアップ


ゆぎ