井戸 いど
井戸
いど
井戸は、地下水を利用するための施設であり、定住生活の開始や年の発達と関わりながら技術改良がなされた。中国では新石器時代に素掘井戸や木組井戸が出現し、戦国時代の都市では陶圏(土管状の陶製井戸側)を積み上げて井戸を作るようになった。漢時代以後には塼(レンガ)を使用して、滑車式の釣瓶や撥ね釣瓶を用いた。日本列島では、縄文時代の水場遺構が少なからずあり、その中には群馬県矢瀬遺跡のように石組井戸ともいえる例が存在する。井戸側や湧水祭祀の場に石を用いることは中国周辺地域の特色である。弥生時代には、素掘井戸に加えて中国の長江流域系統の丸太刳抜き井戸や木組井戸が定着し、江戸時代の桶組井戸に至るまで木製の井戸側が主流であった。同時に石組井戸・土器組井戸・土管組井戸・井戸瓦組井戸・漆喰井戸などいろいろな技術のものが存在する。また井戸の掘削・使用・廃棄時には祭りを行うことが多かったが、弥生時代の井戸祭祀は中国の長江流域の系譜を引き、飛鳥・奈良時代以後には道教・仏教色が強まった。
(宇野隆夫)
以上、転載
