熨斗 うっと・のし
熨斗
うっと・のし
浅い平底の身に長い柄をつけた銅製品。炭火を入れてその熱でシワを伸ばす道具で、ほんらい火熨斗(現在のアイロン)として使うものである。中国では漢代に登場し、河南省洛陽市漢魏洛陽城東郊石橋16号墓例などが典型的な形態である。石製の熨斗台とセットになることもある。これに類似する器に鐎斗と魁があるが、鐎斗は三足の脚が付き、魁は鍋のような用途で熨斗とは区別される。中国遼寧省の北燕・馮素弗墓では青銅製の熨斗が鐎斗と魁とともに出土した。韓国の公州・武寧王陵では、王妃の履が置かれた木棺側板下付近から出土している(長さ49㎝)。日本では奈良県新沢126号墳、大阪府高井田山古墳、福岡県塚堂古墳などの古墳で出土例があるが、高井田山例が武寧王陵例にもっとも形態が類似し、百済系の遺物としてよい。
(中山清隆)
以上、転載
*辞典解説文から漢字ピックアップ
鐎
ショウ
鐎斗(しょうと)は、古代中国の鍋の一種で、炊飯や温酒などに用いられ、後に朝鮮半島や日本へも伝播した。注口が付いた円形の器に、三脚と長い柄が備わるのが通例
魁
カイ、かしら、さきがけ
