王莽銭 おうもうせん
王莽銭
おうもうせん
中国・前漢王朝を簒奪した王莽(在位8〜25年)が、次々と発行した貨幣の総称。まず7年(居摂2)に大泉五十や契刀・錯刀などを鋳造し、従来の五銖銭とともに発行した。9年(始建国元)には大泉五十以外を廃止し、新たに小泉直一を作った。10年には金貨・銀貨・亀宝・貝貨・布貨・泉貨を作ったが、数年で取りやめた。14年(天鳳元)には金・銀・亀・貝貨を復活し、大泉五十と小泉直一を廃止し、貨泉と貨布とを鋳造した。王莽は、理想とする周の制度に復帰するため、旧貨を模倣して貨幣を発行したが、現実の貨幣経済を無視していたために混乱を生じた。実質が名目に伴わない貨幣制度で、しかもたびたび改鋳や貨幣制度を変更したため信頼を失い、流通しない貨幣も多く、王莽の貨幣政策は失敗に終わった。王莽銭のなかでは、大泉五十・小泉直一・貨泉・貨布などは国内でも流通し、遠く中央アジアの新疆ウィグル自治区や外国では朝鮮・日本などから出土している。
(岡内三眞)
以上、転載
