櫂 かい


かい

舟を漕いで推進させる道具。縄文時代の低湿地遺跡から発見される例が多い。手で握る棒状の柄部と薄く幅広の水かき部からな里、両手で持って漕ぐカヌーのパドルのように使用されたことが想定される。板目または柾目の細長い板材を削って製作されており、焦がしによる整形と磨きによる仕上げが認められる。素材には緻密で堅いケヤキやイヌガヤ・クヌギなどが用いられ、大きさは全長1.2〜1.5mほどのものが一般的である。水かき部は幅10㎝、厚さ1.5㎝前後で、幅の広いものと狭いものの2種類が認められる。柄部は棒状に削られ、頭部が瘤状や軍配状になっているものが縄文時代前期から見られる。さらに、後・晩期になると頭部に装飾的な彫刻が施された精製のものも発見されており、実用品との分化が指摘されている。福井県鳥浜貝塚・千葉県加茂遺跡・埼玉県寿能遺跡などの出土例が知られており、なかには丸木舟とともに発見された例もある。

(山崎丈)

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