貝輪 かいわ
貝輪
かいわ
耳飾とともに先史時代のもっとも基本的な装飾品で、貝を素材として製作した腕輪である。貝輪の素材は地域や時代によって異なるが、ハマグリ・サルボウ・アカニシ・イタボガキ・オオツタノハなどが多用される。二枚貝を用いる場合、貝殻の殻頂部に孔をあけて研磨してゆき環状に仕上げ、また巻貝を利用する場合には縦に切って環状とする。貝輪は埋葬された人骨に装着されて発見される場合も多く、基本的には女性が身に付けた装身具と考えられている。貝輪の製作は縄文時代の開始とともに始まり、後期段階に至ると一つの遺跡で1000点を上まわる貝輪が出土した遺跡も存在し、また、製品として仕上げられた多数の貝輪が壺に納められて発見される場合も存在する。この時代には、貝輪が単なる装飾品ではなく貴重な交易品として、海浜部の遺跡で多量に生産されて各地へ持ち出されていたことをうかがわせている。
(栗島義明)
以上、転載
