貨泉 かせん

貨泉
かせん

中国・前漢と後漢の間に建国した新の王莽が鋳造した王莽銭の一種。方孔円銭で、方孔の右に貨、左に泉の文字を鋳出し、泉は銭に通じ貨泉の意味である。14年(天鳳元)に初鋳したときは、直径1寸(2.25㎝)、重さ5銖(3.19g)と定められ、前漢の五銖銭に替わって広く通用した。後漢の光武帝が40年(建武16)に王莽銭に替えて五銖銭を復活したが、その後も貨泉は後漢代を通じて私鋳された。このため大きさも重さもまちまちで、未だ年代判定に使えない。貨泉の分布は広く、西は新疆からロシア南部、北や東はシベリアから朝鮮・日本、南は東南アジアにまで達する。朝鮮では楽浪郡・帯方郡を通じて広く分布し、南は金海貝塚・済州島山地港にまで及ぶ。日本では長崎県壱岐市原の辻遺跡から九州・中国・近畿地方にかけて30余遺跡で出土する。多くは1遺跡数枚単位であるが、岡山県高塚遺跡では、25枚が弥生時代後期の土坑からまとまって検出されている。

(岡内三眞)

以上、転載

 

 

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