櫛 くし


くし

髪をすき、整えたり、フケや埃をとる梳櫛(すきぐし)と、髪に挿して髪飾りとする挿櫛(さしぐし)がある。ツゲ・竹・象牙・鼈甲などで作る。形態では主に縦長の縦櫛と横長の横櫛とに分けられる。製作方法には、刻歯式・挽歯式と結歯式がある。刻歯式は世界各地に見られ、結歯式は日本に多く見られる。刻歯式は木などの素材の一辺に刻みを付けて歯とする。挽歯式は歯を付けるのに鋸を用い、歯は細かく密である。結歯式には竹ひごや木串を一列に並べ、その上端を繊維や紐で結節し漆で固める単純結歯式と、中央で曲げて湾曲した部分を頭部として固める湾曲結歯式がある。縄文時代の出土例は縦櫛のみで、骨や木を用いた刻歯式と、竹・木製の単純結歯式がある。弥生時代には単純結歯式縦櫛に加え、中期以降には湾曲結歯式縦櫛が、後期には刻歯式縦櫛が多く見られる。古墳時代には湾曲結歯式縦櫛が古墳の副葬品として多く見られる。古墳時代の中・後期になると木製の挽歯式横櫛が見られるようになる。挿櫛は、古代から中世にかけては髪型が垂髪のため衰退するが、江戸時代になると結髪の発達に伴い盛んになる。江戸時代の櫛は、鼈甲製のものや木製の櫛に蒔絵が施されるなど装飾性が強まる。

(大西智和)

以上、転載

 

 

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