硬玉製大珠 こうぎょくせいたいしゅ
硬玉製大珠
こうぎょくせいたいしゅ
硬玉製大珠とは、翡翠の一種である硬玉の原石に研磨や穿孔を施して製作された、縄文時代を代表する大型の垂飾である。形状は鰹節形を基本に、緒締形や球形、不定三角形のものなどがある。学史的には全長3㎝以上のものを大珠と呼んでおり、富山県氷見市朝日貝塚出土の全長16.5㎝の例が最大である。製品の分布は前期の山梨県大泉町天神遺跡例が最古であり、中期以降では関東地方や中部地方を中心に、北海道から九州までの広範囲で発見されている。一方、生産遺跡としては、中期では新潟県糸魚川市長者ヶ原遺跡や富山県朝日町境A遺跡、後・晩期では新潟県青海町寺地遺跡などが知られている。これらの遺跡では硬玉の原石をはじめ、未製品や破損品、砂岩製の砥石などが大量に出土している。生産遺跡が硬玉の原産地付近に限定されることから、大珠の分布は縄文人の活発な交易活動を具体的に示すものとして注目されている。硬玉以外の大珠としては、軟玉や蛇紋岩製のものがある。
(上野修一)
以上、転載
